君とみた未来
一瞬自棄になってしまった。

「樹理がそんな考えを持ってるから母さんだって、前向きに考えられないんだろ?」

若月先生は、あたしと母さんの言い分を黙って聞いていてくれた。

「母さんは、恭平のこと嫌いなんでしょ?だから、いいよ。母さんには、迷惑かかんないように頑張るから」

今まで黙っていた、若月先生が口を開いた。

「樹理ちゃん、及川さんは、お母さんにもう一度会って、ちゃんと話しがしたいと言っているよ。樹理ちゃんがお母さんには認めてもらいたいって、それが樹理ちゃんの希望だから、って及川さんは、そう言ってたよ」


「……あたしだって、母さんに認めてもらいたいよ……父さんがいなくて、家は母さんとあたしだけなんだもん、だから、母さんには祝福してもらいたいし、認めてもらいたいし、でも……」

「じゃあ何で、母さんをそんなに邪険にするの」

また母さんが話しに入ってきた。

「別に、邪険になんかしてないよ」

「してるじゃないさ。さっきだって、料理の話ししたら関係ないって、それが邪険にしてないって言うのかい?」

「それは……あたしが悪かった」

あたしは、話す決心をした。

それで、母さんに許してもらえるんだったら、何もかも話して、母さんに許してもらおうと思った。

もう、こんな窮屈な生活を続けるのはうんざりだった。

「……恭平と喧嘩して、母さんの家に戻って来た次の日に、やっぱり恭平のことが気になっちゃって、恭平の家に行ったの。そしたら、カップラーメンとか食べてたみたいで……それで、料理して帰っただけだよ。恭平には会えなかったし」

「それで?」

「それだけだよ」

「栄養のつくもの考えて、毎日ご飯を作ってくれて、部屋の掃除をして帰って行くんだよね」

若月先生が、僕は何でも知っているよ。見たいな顔をしてあたしに話す。

「樹理、喧嘩して家に戻って来たのかい?」

「うん……」


理由は言いたくないけど。


「あんた達、結婚しても喧嘩したら家に帰って来ようなんて思ってんじゃないだろぉね」

「そんなこと考えてないっ。あれは、あたしが悪かったの、ちゃんと分かってる。だから、恭平にもちゃんと謝りたいの」


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