君とみた未来
「明け方便所行こうとしたら、腹が痛み出した」

「ごめんね、いてあげられなくて」

「……いいよ」

「どうやって、病院に来たの?」

「若月先生に飛んで来てもらった」

恭平は笑っていた。

「そうなんだ、若月先生、ありがとうございます。それと、恭平今までゴメンナサイ。反省してます」

あたしは、深々と頭を下げた。

「ちゃんと反省してっか?」

恭平は、あたしを軽く睨む。

「うん。いっぱい、いっぱいしてる」

「おーし。ゆるしてやる」

「二人とも、仲直りしたところで、樹理ちゃん及川さんに報告することがあるだろ?」

あっ。


「恭平、あのねっ。母さんがね、許してくれたの。あたし達のこと認めてくれたの」

あたしは、また瞳を熱くしながら報告した。

「本当か!?」

「うんっ!ちゃんと聞いた。若月先生も聞いた!」

あたしは恭平に抱きついた。

「やったぁぁ!」

恭平は、深夜にもかかわらず大声をあげた。

あたしは、恭平から離れて、恭平の瞳を見て泣きながら次の言葉を続けた。

「……かあ……さ……んが、じょ、丈夫な、あか、赤ちゃ……んっ、産みな……さい……って……」

恭平の瞳にも、涙がたまっていた。

「有難うございます。って、言っといて、退院したら会いに行きますからって……」

「よかったですね。毎日会いに行っても会ってもらえなかった時間が報われましたね」


 毎日、会いに行った……?


「恭平?毎日、母さんのとこに行ってた……の?」

「ん?まぁ、お前が俺の所に来ちゃったからな、ちゃんと挨拶しなきゃと思ってな。でも、会ってもらえなかったけどな」


知らなかった……。


恭平、そんなことしてくれてたんだ。


「じゃ、ちょっと二人に話しとこうかな」

若月先生が、突然話し始めた。

「はい?」

「樹理ちゃん」

若月先生はあたしを見た。

「はい」

「本当は、言わなくてもいいことなのかも知れないけど、あえて、言わせてもらうことにするよ」

「はい……」

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