君とみた未来
「お金がかかることは、母さんだってわかってるよ。でも、学校を辞めるってのは、賛成できないね、どぅ思う?恭平さんは」

母さんは、恭平に意見を聞く。

「俺も反対ですね。せめて高校くらい出てないと、今の社会じゃ就職に不利ですよ。樹理、金のことは、お前が気にしなくていいから、学校辞めるなんて考えるな」

「でも、今のままじゃ学校行っても、あんまり勉強に身が入らないと思うの。それに、恭平が無事赤ちゃん産んじゃえば、またどこかで働くんでしょ?そうしたらその間、赤ちゃん見てる人だって必要になってくるし、今のままの生活は続けられないと思うの」

「そうは言ってもねぇ」

母さんも困ってるみたいだった。

「樹理、勉強が嫌で学校辞めたいわけじゃないいんだな?」

恭平が念をおすように聞く。

「うん」

実際、あたしは学校は好きな方だった。

まぁ、学校に恭平がいた、という理由もあったけど、勉強は別にして、学校に行きたくないと思ったことは一度もなかった。

そして恭平は、考えてこう言った。

「定時制にでも変更するか?」


定時制?


聞いたことはあるけど。


「五時から八時までだけど、ちゃんと通えば高校を出たことになるんだ。ま、四年生だけどな」

「樹理、それにしなっ」

母さんがそれに同意する。

「いいの?」

あっさり決まってなんか拍子抜けした。

「でも、お前が五時からだとその前に家に帰ってないといけないだろ?俺そんなに早く帰って来れねーぞ」

恭平は、最後の栗きんとんを口の中に入れた。


そっか……。


「大体いつから学校辞めるつもりなんだよ」

「冬休み明けてすぐにでも、先生に言おうと思ってた」

「先生って、担任に具体的な相談は出来ないだろ。それに、そんなに早く辞めたって、赤ん坊は産まれてこねぇんだぞ」

「だーかーらぁ。出産費用のために働くって言ってんじゃない」

「あ、そういう理由か」


なにが?


「なんだよ、俺はずっと働くつもりなのかと思ったんだよ」

「あたし専業主婦になるつもりだから」

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