君とみた未来
「いいんだよ、それで。何も一人で考え込まなくたって、その為に私達、医者の仕事があるんだから」

「……ありがとう」

病院に着いて、あたしだけ恭平の所へ行った。

若月先生は、看護士さんに呼び止められて診察室の方へ行ってしまった。

トントン。

ドアをノックして、部屋に入った。

「どお?大丈夫だった?出来るだけ早く帰って来たつもりだったんだけど」

あたしは、持って来た荷物をソファーに下ろしながら、恭平に聞いた。

「大丈夫だよ、それより悪かったな」

「なに誤ってんの?当たり前のことしてるんだから誤んないで」

「若月先生は?」

「看護士さんと一緒にどっか行ったよ」

「何か言ってた?先生」


言ってもいいのかな。


陣痛かも知れないって……。


「樹理?」

「ううん。ただ、よくここまで無事に育てましたねって」


言えなかった……。


「あぁ、そうだな」

恭平は、遠くを見つめた。

「樹理、お前昼飯は?食ったのか?」

「ううん、まだだよ。でもまだいいや」
「食える時に食っとけよ」

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