君とみた未来
「母さん、赤ちゃんの服、もぅ一着買ってこないと……母さん?」

母さんは、お祈りをするように、両手を合わせて、目をギュッとつぶり、ブツブツ呟いていた。

「……母さん。見てあげて、恭平とあたしの赤ち
ゃんだよ」

母さんは、そっと片目ずつ目を開くと、口を少し開けたまま赤ちゃんを黙って見続けた。

母さんの瞳から、涙がつたっていた。


一番心配していたのは母さんかも知れない。


「先生、ありがとうございます」

母さんが赤ちゃんを見たままお礼を言った。

「いえいえ、どういたしまして。そろそろ及川さんも目を覚ます時間かな」

「恭平と話しができるのね」

「母さんは、もう少しここにいるよ」

「……母さん……」

「じゃ、明かりはこのままにしておきますね。戻られる時も電気はこのままでけっこうですから」

あたしと若月先生は恭平が寝ている部屋に戻った。

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