アイショウ
C高は一番英語に力を入れている学校。

英語が苦手な私にとって一番の悩みの種だった。


点も足りていない…受けるか受けないか…、悩んでいた。



11月頃、放課後の教室、誰もいないと思って一人で泣いていたら、クラスの子が入って来た。

私が持っている進路希望調査の紙を見て察したのだろう。

『前川は内申で十分だよ!
私、いつも授業真面目に受けてるのとか、人の話ちゃんと聞いてるのとか知ってるんだから。
いつも一生懸命なのわかってるよ!』


あまり話した事のなかったクラスメート。でもわかってくれてる人がいる、そう思うと気が楽になった。



今日はその子も入試だ。
頑張ってるかな?



国語が終わり、そんな事を思いながら、取りあえず友達とトイレに行った。



話題はみんな『できた?』。

竹内から『出来なくても出来た!って言っとけ。』、そう言われていたた私は、満面の笑みで『出来たー♪』と答えた。


本当に出来たものだから少し浮かれていたのだ。



後で知ることとなるのだが、C高のトイレは防音並みに外の音が聞こえない。


勿論、人の話し声や足音、そして試験開始のチャイムの音までも…。



私と友達は廊下に出て絶句した。

誰もいないし声も聞こえない。



もしかして…と、急いで教室へ向かった。



私がドアを開けると同時に先生の声が響いた。



『試験開始!』
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