秋の空を
僕は涙を流した。

「大地の気持ち、わかるわ。
でもね、風子ちゃんはもっともっと寂しいと思うよ。」

「どうして?」

「風子ちゃんは大地だけじゃなくて、幼稚園でできたお友達みんなとお別れしなくちゃならないのよ。

1人でどこかの幼稚園へ行かなくちゃならないのよ。」

幼稚園のみんなと…

風子ちゃんは大空幼稚園のみんなとはもう遊べないんだ。

「でも、風子ちゃんはそれを知ってて言ってくれなかった。」

「きっとなかなか言えなかったのよ。
大地が悲しむと思って。」

僕が悲しむと思って言えなかった…か。

「風子ちゃんだって離れたくて幼稚園を離れるわけじゃないの、お父さんとお母さんの都合があるんだから。
大地のことが嫌いでお別れするんじゃないのよ。」

風子ちゃんは僕に謝っていた。

でも、謝らなくちゃならないのは僕かもしれない。

「笑顔で送ってあげた方が、風子ちゃんのためだと思うけどね。」
お母さんが僕の肩をポンと叩いた。
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