秋の空を
風子ちゃんは道の横の草っぱらに近付き、歌を歌い始めた。

すると、草の所に花が咲き始めた。

前にもこんなことがあったけど、それは風子ちゃんが妖精さんだからなのか。

「妖精さんが歌うと花が咲くんだね。」

「秋の妖精だから秋のお花を咲かすの。」

風子ちゃんは咲いた花の上に座った。

「そう…秋の妖精だから、秋が終わったら消えるの。」

「消えるって…?」

「姿が見えなくなっちゃうの。
だからみんなとはお別れ。
次の秋まで空気の中を飛んで回るの。」

「じゃあ、他の幼稚園に行かないんだ。」

「秋が来たらどこかの幼稚園に入ると思うけどね。」

そうか、それじゃあ風子ちゃんは雪だるま作りも雪合戦もできない。

冬には風子ちゃんの体は消えてしまうのだから。
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