上海ふたりぐらし
 私の方はというと、入学申し込み、身体測定など全ての手続きが、留学生が多いことと、中国式の不合理なやり方が原因で、スムーズにいかなかった。
 特に面倒だったのが、クラス分けだった。教科書を読ませるだけの簡単なテストで決められたクラスは、私にとって少し難しかった。一週間以内なら他のクラスに移っても構わなかったのだが、うっかりして一日遅れてしまった。留学生事務所に行くと、新しいクラスの先生が承諾すればいい、とのこと。そこでサインをもらいに行くと、事務所の先生がいいって言うならいいよ、と教室と事務所を行ったり来たり。
 結局、新しいクラスの先生が別の先生を紹介してくれ、そこへ行くと、今度は、私にそんな決定権はない。と、だんだん役職が上がっていく。最後はいちばん上の学部長の所まで行って、やっと許可が下りた。
 これって、そんなに難しいこと?確かに一日遅れた私が悪いんだけど、何でいつもそんな面倒なの?ただ責任を負いたくないのよね。それと面倒臭いって理由だけで、可能を不可能にしてしまう中国。この後、私は少しずつ中国の事が分かるようになった。彼らがよく口にする「大丈夫」は、当てにならないこと。ただの口癖。逆に「ムリ」と言われても、必ず方法があるということ。

 このクラス替えにより私は、いい先生と友人に巡り合うことができた。そしてこの選択が私の運命を少しずつ変えていった。





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