上海ふたりぐらし
閉じ込められ事件
週末になると私たちは、上海の街を散策した。その日もお天気がよくどこに行こうかとウキウキしていた。まず出掛ける前に果物を買いに行った。いや、行くはずだった・・・
普段学校へ行く時は、下駄箱の上に置いてある部屋の鍵と自転車の鍵を、セットで持って出ていた。その日は、まず向かいの果物屋さんへ行こうと、部屋の鍵だけ持って出た。
私たちが住んでいたのはいわゆる団地。安全のため、中国ではドアが二つある部屋が多い。これには2種類あって、ただドアが二重になっているものと、もうひとつは、内側と外側のドアの間に玄関のような空間があるもの。うちは後者だった。
内側のドアを閉めてから靴を履き、外側のドアを開けようとした時、気がついた。
「あっ、間違えた。これ、自転車の鍵だ。」
この時点で、私はまだ何も気付いていない。
部屋の鍵を取りに戻るため、内側のドアに鍵をさそうとしたところで私はことの重大さにやっと気づいた。
内側のドアはオートロック。閉めたと同時に鍵がかかる。自転車の鍵ではもちろん入れない。そしてこの外側のドアは、中からも鍵を開けなければいけなかった。私と息子は、ドアとドアの間、約1メートル四方の狭い空間に閉じ込められてしまった。
あー、何てバカなんだろう。今更自分を責めてももう遅い。私は閉所恐怖症だ。狭いところにいると、息が詰まる。酸素が一瞬で無くなるような気がするのだ。この時は、とにかく焦った。鍵が開かない限り、出られないのはわかっていたし、そう簡単に開ける方法がないのもわかっていた。隣りでは息子が、
「おかあさん ちゅうごくごで たすけて って なんて いうか しってる?」
と、聞いてくる。冷静にならないと。私はまず三回深呼吸をした。
そして、叫んだ。
「おーい、だれかー。」
お隣は、明らかに80歳を越えてると思われる老夫婦が住んでいるのだが、聞こえていないのか、反応なし。間もなく団地の清掃員のおじさんが通りかかかった。何とか状況を説明したけど、
「僕、鍵持ってないから。」
と、無情にも去って行った。
普段学校へ行く時は、下駄箱の上に置いてある部屋の鍵と自転車の鍵を、セットで持って出ていた。その日は、まず向かいの果物屋さんへ行こうと、部屋の鍵だけ持って出た。
私たちが住んでいたのはいわゆる団地。安全のため、中国ではドアが二つある部屋が多い。これには2種類あって、ただドアが二重になっているものと、もうひとつは、内側と外側のドアの間に玄関のような空間があるもの。うちは後者だった。
内側のドアを閉めてから靴を履き、外側のドアを開けようとした時、気がついた。
「あっ、間違えた。これ、自転車の鍵だ。」
この時点で、私はまだ何も気付いていない。
部屋の鍵を取りに戻るため、内側のドアに鍵をさそうとしたところで私はことの重大さにやっと気づいた。
内側のドアはオートロック。閉めたと同時に鍵がかかる。自転車の鍵ではもちろん入れない。そしてこの外側のドアは、中からも鍵を開けなければいけなかった。私と息子は、ドアとドアの間、約1メートル四方の狭い空間に閉じ込められてしまった。
あー、何てバカなんだろう。今更自分を責めてももう遅い。私は閉所恐怖症だ。狭いところにいると、息が詰まる。酸素が一瞬で無くなるような気がするのだ。この時は、とにかく焦った。鍵が開かない限り、出られないのはわかっていたし、そう簡単に開ける方法がないのもわかっていた。隣りでは息子が、
「おかあさん ちゅうごくごで たすけて って なんて いうか しってる?」
と、聞いてくる。冷静にならないと。私はまず三回深呼吸をした。
そして、叫んだ。
「おーい、だれかー。」
お隣は、明らかに80歳を越えてると思われる老夫婦が住んでいるのだが、聞こえていないのか、反応なし。間もなく団地の清掃員のおじさんが通りかかかった。何とか状況を説明したけど、
「僕、鍵持ってないから。」
と、無情にも去って行った。