お大事にしてください
さすがの幸も、さすがにアイスを三個食べるとなると苦戦していた。はじめの一個は余裕だったが、次の一個でこめかみが痛くなった。それでも無理して三個目に挑戦した。が、食べ終わる前に、花火大会に向かわなければいけない時間になっていた。
「幸、私が代わりに食べてあげようか?」
尚美が物欲しそうな表情で言った。
「ダメ、ダメ。せっかく尚美にもらったんだから。絶対に食べてやるもんね。」
「そう、ならいいけど。無理しないでね。」
幸も祖母に似て、頑なな所があった。
アイスを口にくわえ、夕陽に向かって歩いていった。
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