お大事にしてください

どれくらい時間が経ったのだろう。もう、結構な時間を、理緒は眠り続けている。それでも起きる気配はない。
そこに誰かがやって来た。保健医の水元だろうか。水元は身長も高く綺麗で、男子だけでなく、女子にも憧れの的になるような女性だった。しかし、それにしては影が変だ。何か薄気味悪い感じが出ている。
何かを探しているのだろうか、ゴソゴソと音を立て、戸棚や引き出しを開けている。その音に、理緒は目を覚ました。
「先生？水元先生？」
声をかけるが返事がない。不審に思い、ベッドから起きた。
「先生、返事くらいして下さいよ。」
言葉を失った。そこにいるのは背の小さな老人だ。白衣を着ている。
言葉を失ったのは、老人も同じだ。まさか、生徒がいるとは思いもしなかったのだろう。