お大事にしてください
口を開いたのは、理緒からだった。
「あの、あなたは?」
心臓が駆け足になっている。もし、老人が白衣を着ていなかったら、叫び声をあげていたに違いない。白衣があったからこそ、もしかしたら水元の関係者かと思え、不安をせき止める事が出来たのだ。
「あ・・・あ・・・。」
言葉もそうだが、老人が醸し出す雰囲気は、異質なものと言わざる得なかった。
「誰なんですか?水元先生は?」
一瞬、間が空いた。
「あ、水元・・・水元・・・先生の代わりです。」
「代わりって、水元先生どうかしたんですか?」
「よ、よくは・・・わからないです。ただ・・・もう・・・ここに来る事は・・・ないかと・・・聞いています。」
「えっ、なんで?なんで?」
老人は首を振るだけだった。
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