お大事にしてください
殺虫剤を思い切りかけたせいで、布団が湿っていた。それをタオルで丹念に拭く。なかなか全部を拭えない。
願いは、どんどん強くなっていった。
情けない自分が、嫌で嫌でたまらなくなっていった。
そんな思いを、一時間も繰り返しながら拭っていくと、さすがに湿り気もなくなってきた。
「やっと眠れるよ。」
時計の針は、二時を回っていた。
この時間から、あのかゆみが復活したら、まだこの間と同じようにつらい朝を迎える事になる。それだけは避けたかった。
「ちょっと、多めに薬塗っておこうかな。」
濃い緑色をした理緒は、ますますカッパのようだ。
ただ、そのおかげで何も感じない。かゆいと言う感覚を、完全に忘れさせた。
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