お大事にしてください
（何？どうしたの？）
また、夢でも見ているのかも知れない。そう考えたりもした。しかし、それにしては携帯のバイブが、リアルに聞こえすぎる。
手を動かした。これもおかしい。まるで、自分の手ではないようだ。ぎこちなく動かす事しか出来ない。
携帯を持つが、ボタンが押せない。ほとんど何も見えないから、半分は勘だけど、どうも指が、かなり太くなっているらしい。
いつまでも、いつまでもバイブがうるさく響く。
しかたないからベッドの下に隠した。
（いったい、どうしたって言うの？）
とにかく、自分の体がどうなっているのか知りたい。理緒の考えている事はそれだけだ。
重たい体を起こし、手探りで姿見の前に立った。
鏡は太陽の光を反射し、自分はここだと理緒に教えているようだった。
瞼はひどく腫れている。ただ、かゆみ止めのおかげなのか、何も感じない。邪魔なだけだ。
その重たい瞼を、やはり重たい手で持ち上げた。
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