お大事にしてください
季節は夏。毎日、照りつけるような日差しが続いている。蝉の鳴き声が、いっそう暑苦しさを増させる。
「暑いぃ・・・。」
窓を全開にし、畳の上に寝転んでいる。彼女の姿は、とても女子高生のそれとは思えなかった。
「こら、幸。女の子が、そんなはしたない格好しているものじゃないよ。」
幸(こう)の祖母、龍江は彼女をたしなめた。
「だって、暑いんだもん。おばあちゃん、エアコンぐらい付けようよ。」
祖母の家は、かなり古かった。先祖代々この家に住み続け、祖母で四代目と言っていた。そんな古い家に、現代のものは驚くほど似合わなかった。エアコンもそのひとつだ。どんなに言っても、龍江は頑なに拒否していた。
「あんなもの、ご先祖様から受け継いだこの家にはいらん。壁に穴を開けるなんて、恐れ多いったらありゃしない。そこに扇風機でも、うちわでもあるだ。好きなだけ使ったらええ。」
「お、おばあちゃん。今、三十五度だよ。あんなのじゃ意味ないよ・・・。」
「じゃあ、氷でも食べればええ。」
今日も、祖母は頑なだった。
「暑いぃ・・・。」
窓を全開にし、畳の上に寝転んでいる。彼女の姿は、とても女子高生のそれとは思えなかった。
「こら、幸。女の子が、そんなはしたない格好しているものじゃないよ。」
幸(こう)の祖母、龍江は彼女をたしなめた。
「だって、暑いんだもん。おばあちゃん、エアコンぐらい付けようよ。」
祖母の家は、かなり古かった。先祖代々この家に住み続け、祖母で四代目と言っていた。そんな古い家に、現代のものは驚くほど似合わなかった。エアコンもそのひとつだ。どんなに言っても、龍江は頑なに拒否していた。
「あんなもの、ご先祖様から受け継いだこの家にはいらん。壁に穴を開けるなんて、恐れ多いったらありゃしない。そこに扇風機でも、うちわでもあるだ。好きなだけ使ったらええ。」
「お、おばあちゃん。今、三十五度だよ。あんなのじゃ意味ないよ・・・。」
「じゃあ、氷でも食べればええ。」
今日も、祖母は頑なだった。