お大事にしてください
痛み止め9
「尚美。」
夏休みも終わり、制服も冬服へと替わっていた。
「幸。その荷物、文化祭で使うやつ?」
大きなダンボールを抱え、前が見づらそうだ。
「そうだよ。ねぇ、悪いけど手伝ってもらえないかな。」
「いいよ。」
そう言うと、重なっているダンボールを、ひとつ手に取った。
「結構重いね。何が入っているの?」
「ほら、うちのクラスって、何を思ったかシンデレラなんてやるでしょ。その衣装とかが入ってるの。こう言うのって、わりと重いんだよね。」
「そっか、そっか。それで幸は何やるの?」
「シンデレラ。主役だよ。なのに、荷物持ちとかさせるんだよ。うちの男子もなってないよねぇ。」
「うん、なってない。なってない。でも、いいな。主役をやれるなんて。うらやましい。うちのクラスは屋台やるでしょ。だから、私なんか野菜切る係だって。いくら、家が定食屋だからって・・・馬鹿にしてるよね。」
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