お大事にしてください
社長と言うのは皆そうなのだろうか。それとも文太が特殊なのだろうか。着いたのは、一軒の高そうな焼き肉屋だ。入り口にあるメニューを見て、河本はたじろいだ。とても、河本の小遣いで食えるような金額ではない。
「香月さん、大変に言いにくいんですけど・・・。」
「なんだ?」
「ちょっと、ここのお値段高いんじゃないでしょうか?僕の小遣いじゃ飲み物も飲めませんよ。」
「いいって、いいって気にするな。今日はおごりだ。」
「えっ、本当ですか?」
恥ずかしいくらいに声がはずんでしまった。
「ははは。お前は正直な奴だな。」
笑い声をあげると、大きな腹が上下に激しく揺れた。
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