狐面の主人
3
「さぁさぁさぁ!そこ行く旦那!
ちょいと寄って行きなって!
新しく入った娘だよ!
いい女だろう?
買って行かないかい!?」
女郎屋の商人の声が響く。
今日も一人、また一人と、遊女達は売られていくのだ。
「…ほうほう、どれもこれも別嬪だのぉ…。」
そして立ち寄った常連の男。
檻の中をくまなく覗き込み、目当ての女を捜した。
そして、一番端に陣取っている、一人の女に目を止めた。
「…おい、そこの女。」
女は、ゆっくりと顔を上げた。