狐面の主人
真っ先に目を引く赤い羽織りに、高価そうな桜色の着物を着込み、
顔には、妖しげな雰囲気を醸し出す、狐の面――――………。
女は名を、五穂といった。
「女、面を取ってみろ。顔によっちゃ、買ってやらないこともないぞ…?」
五穂を舐めるように見つめる男。
しかし五穂は、
「あなた様が買って下されば、面を取って差し上げますよ。
まぁ、あなたのような下品そうな殿方には、どの娘も勿体無いでしょうけれど…。」
くすくすと笑い、奥に引っ込んでしまった。