狐面の主人
五穂が呆気にとられていると、突然炎尾に手を引かれた。
狐達の作る、玄関門までの一本道を、手を引かれながら歩いていく。
一斉に降りかかる、狐面の下の視線が痛い。
「…………炎尾様…。」
五穂が心細そうに呟くと、歩みは進めたまま、炎尾が後ろを振り返った。
「どうした?」と聞くように、五穂の顔を覗き込む。
「……皆様、納得なさっていないのではありませんか…?
五穂のような、汚らわしい女郎が……御屋敷に上がり込むなんて……。」