狐面の主人
門をくぐった五穂は、思わず息を呑んだ。
門のすぐは、見るも見事な庭があったのだ。
池は澄んで、白金色の鯉がよく映えている。
浮かぶ蓮も美しい。
整えられた松や桜の木が、あちこちに植えてあり、それらが良く調和している。
石畳や灯篭には、コケひとつ生えていない。
そして目の前に構える朱色塗りの本邸。
どれを取っても、前仕えていた貴族の屋敷とは、比べものにならない。
「はぁ………っ!
立派…に、ございます……。」