狐面の主人
「なんだ、五穂の前の主人は、この程度の庭も持っていないのか。」
この庭を、何の誇りも無く「程度」と言い放ってしまった炎尾。
五穂は彼の器の大きさに驚きつつも、こくこくと頷いた。
「これは“離れ”だ。
本邸は、此処よりずっと奥にある。」
急に、五穂がガックリと項垂れた。
さっきまで、絶対にこれが本邸であると疑わなかったからだ。
果たして彼は、どれ程の金持ちなのだろうか。
想像するのも嫌になる。