狐面の主人


【オイラは雨珠(あめだま)。
此処の屋敷の天井裏に住む、誇り高き“骨鼠”だ。】




天井裏なんぞに住んでいるのだから、誇り高きも無いだろうと思ったが、あえて黙っておくことにした。

妙なことを言えば、また何をされるか分からない。



【女、お前は?】


クリッとした円らな瞳が向けられ、五穂はその愛らしさに身悶えした。

元々、台所を預かる女中だったため、鼠や虫には慣れていたのだ。


「あ、私、五穂って言います。

よろしく…////」


ヘラッと笑って見せると、雨珠は大層不思議そうな顔をした。


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