狐面の主人
「……………という訳で、此処の御屋敷に、雇って頂いたのです…。」
五穂が話し終えて顔を上げると
【うっ、うぅっ、ぅぅうっ!】
雨珠が酷い位に、貰い泣きしていた。
呆気に取られる五穂。
【お、お前、すっげぇ苦労してたんだなぁ…っ。
そんな綺麗な顔してんだもんな…っ。
男なら、皆寄り付いてくらぁ…っ!グスッ】
鼠にまで同情されてしまうとは何ともやるせない気分だ。
だが、こうして一緒に悲しんでくれる者がいるのは、嬉しいこと。
五穂はほんのり顔を赤らめた。