狐面の主人


【なんだお前、主殿から何も聞いてねぇのか?

この屋敷の秘密ってやつをよっ!】


「秘密…?」



雨珠はハッとして、自分の口を塞いだ。

だがもう遅い。

五穂が雨珠に詰め寄る。


「秘密って、何ですか…っ?
私…炎尾様から聞けなかったんです…っ!
お願い…教えて下さい…っ!


…もしかして…此処は……妖怪の…


【悪ぃ、五穂!!
オイラには、教えらんねぇっ!】



五穂の言葉を遮るように、雨珠が怒鳴った。


【オイラ、主殿には、ちと逆らえねぇんだ…。
だから勝手なことは、言う訳にはいかねぇんだよ…。】



五穂は黙り、静かに立ち上がった。


「五穂…?」


< 59 / 149 >

この作品をシェア

pagetop