狐面の主人
【なんだお前、主殿から何も聞いてねぇのか?
この屋敷の秘密ってやつをよっ!】
「秘密…?」
雨珠はハッとして、自分の口を塞いだ。
だがもう遅い。
五穂が雨珠に詰め寄る。
「秘密って、何ですか…っ?
私…炎尾様から聞けなかったんです…っ!
お願い…教えて下さい…っ!
…もしかして…此処は……妖怪の…
【悪ぃ、五穂!!
オイラには、教えらんねぇっ!】
五穂の言葉を遮るように、雨珠が怒鳴った。
【オイラ、主殿には、ちと逆らえねぇんだ…。
だから勝手なことは、言う訳にはいかねぇんだよ…。】
五穂は黙り、静かに立ち上がった。
「五穂…?」