狐面の主人
炎尾は一瞬、何を言っているか分からないように固まると、五穂を労るようにこう言った。
「…五穂、そう、気を使うな。
仕事を傍らで見ているだけでも良い。捨てたりなどしないから、安心しろ。」
すると今度は五穂が固まった。
「…え……?
…あ…ち、違いますっ。
気を使っている訳ではなく…その…、
認めて…頂きたいのです…。」
五穂は恥ずかしそうにうつ向いた。
初の仕事だから、主のため頑張ろうと思ったら、相手には無理をしているように見えていたとは。
やはり、炎尾の言う通り、傍らで見ているだけの方が安心されるのだろうか。