狐面の主人
【おぅ。
主殿の奴ぁ、よくあの八匹を集めて、夜な夜な宴をするんだ。
料理は美味いんだが、あいつら好き嫌いが激しくてよぉ。
主殿も苦労してるんだぜ。】
「今日が特別…という訳では無かったのですね。」
五穂はフムと考え込んだ。
やはり皆好き嫌いがあり、好みもバラバラなようだ。
一体何を作ったら良いのか、何を作ったら悪いのか分からない。
「…雨珠さん。皆様、おひとつでも好きな物は御座いませんか?
あれば、それを作ろうと思います。」
すると今度は、雨珠がうーんと考え出した。
【…無理だと思うぞ。
だってあいつら、生の兎やら、マムシの干物やら、下手物ばっかしだからよぉ。】
鳥肌が立った。
【そうだな…。
あいつら、油揚げとか好きそうだよな。】
雨珠が小さい前足をポンと叩いた。