狐面の主人
「間に合いました…!
ご覧下さいませ…っ!」
間に合った嬉しさから、炎尾の服の袖を引き、大座敷へと連れた。
その襖を開けた瞬間、炎尾は目を見張った。
「!」
八名分…では収まらず裕に百名分はあろうという御膳が、その場にズラリと並べられていた。
どれも種類は豊富。
主に油揚げが多く、屋敷のどの下働きに作らせても、これほどまでに大量で、見栄え美しき御膳は出来なかっただろう。
炎尾は黙ってしまった。
何か気に障ったのかと五穂は急に不安になり、炎尾の顔を見上げた。
「あの…。」
「五穂。」
ギュッ
「え…炎…ッ!?」
突然、炎尾に抱き締められた。
まるで、愛しい人にそうするように、優しく…。
「流石、俺が見込んだ女だ。
よく、やってくれたな。」
「……も…勿体のう御言葉……////。」