狐面の主人



リンッ………





五穂のいる檻の前に来て、男は立ち止まった。


その途端、周りにポッポと青い火がいくつも灯った。





五穂がぼうっと見上げていると男は言った。



「此処は女郎屋か?」



五穂は頷いた。
狐の面のせいで、素顔が分からない。

納得したのか、男は黙ってしまった。

五穂が不安げに見上げると、また男は言う。




「お前のような若い娘が売られているのは、初めて見る。

お前も、女郎か?」


五穂はまた頷いた。


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