Cool Lip
迷惑そうだったもんなぁ…おもいっきり。


「あの三上くんと付き合おうとか、そんな恐れ多いことは思わないもん…」


ボソッと呟いたわたしの言葉は、リンリンには届かなかったらしい。


誰がなんと言おうと、好きな気持ちは本物だから。


別に特別じゃなくたっていい。


ただ今よりも仲良くなりたいだけなんだけど…


「もう、決めた。今回だめなら、ほんとの、本気で諦める」


リンリンに言われなくたって、わかってる。


万年成績下位を誇るわたしが、いつもトップクラスにいる三上くんに敵うとは到底思えないし、


彼がそれを承知で、わたしに条件を突き付けたことも。


けど、だからこそ。


「あの男をギャフンと言わせてやろうじゃないの!!!」


思わず立ち上がって拳を突き上げると、タイミングよく風がピューッと吹き抜ける。


「…ドMめ…」


リンリンの呟きにはあえて聞こえないフリをした。
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