Cool Lip
呪われている―――…


「まさか…ね…」


昨日の帰り道での衝撃から、まだ立ち直れていない。


その後佐藤さんが語ってくれた話は、正直いって、眉唾ものとしか思えなかったんだけど…


「…どうしたもんかなぁ…」


「―――――おい」


昇降口でローファーを靴箱に入れながら、深々ため息をつく。


知らなければよかったのに、聞いてしまったからには見て見ぬフリはできないし…


「…聞いてるのか?」


「―――――え…」


すぐ耳元で声がして、慌てて振り向くと…


「み、三上くん…っ!?いつのまに…!??」


「…そこ、邪魔なんだけど」


急いで横へ移動すると、相変わらず不機嫌そうな王子はすぐそばの靴箱へ靴を入れた。


…あれ…?


いつも朝は教室で勉強してるんじゃ、なかったっけ…?


なんとなく違和感を感じて、考えなしにそのまま言葉がついてでていた。


「今日は、勉強してなかったの?」


…言ってしまってからしまったって気付いたけれど、もう遅い。
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