Cool Lip
「三上くん…」


…すごい…


やっぱり、むちゃくちゃカッコイイよ…


ポーッと夢見心地のまま、そのクールな背中を見送る。


なんだかんだ言いつつ、いざというときは助けてくれる。


そんな不器用な優しさがあることを知って、わたしは彼に惹かれていったのだ。


それまでも色んな意味で有名人の三上くんのことは知ってはいたけれど、それはあくまでただの同級生として。


わたしは…


「…やっぱ…好きだよ…」


諦めきれないよ。


チクンと胸の端が痛む。


その後、予鈴が鳴るまでそこに佇んでいたけれど、


その状況をかげから見ていた人物がいたことには、最後まで気づくことはなかった。
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