Cool Lip
「ストぉーーップ!!!」
突然、
リンリンが店中に響き渡るくらいの声量とともに、右の手の平を突き出してきた。
「ちょっ…なんで止めるわけ!?これからがイイトコなのに」
急に遮られたわたしは、断然!抗議。
「イイトコって…あんた…」
不満たらたらのわたしに、リンリンは疲れたように顔を引き攣らせた。
「さっきまで失恋話だったのに、なんでいつのまにかそんなアリエナイ妄想話に変わってんのよ!!!」
も、妄想って、
「失礼ね!願望って言ってくれない!?」
「どっちもおんなじじゃん!!!」
そんな中、睨み合うわたし達の横からおずおずとかけられる店員さんの声。
「お客様、周りのお客様のご迷惑になりますので…」
どうやら、思いの外ヒートアップしてしまっていたらしい。
小さくなったわたし達二人、何事もなかったようにジュースのストローをくわえる。
ハンバーガーの包みをたぐりよせると、話に夢中だったからかすっかり冷めきってしまっていた。