Cool Lip
な、


なんで…!?


こっち、見てたわけ…!?


そう思った途端、ボンッと顔から火が出そうになる。


「だめ…かな…?」


不意に、佐藤さんが泣きそうに顔を歪めたので、わたしは慌てて立ち上がった。


「だ、だめなわけないよ!行こう!」


ホッとした表情の彼女と一緒に教室を出ようとした時、


痛いくらいの視線を感じておそるおそる振り返る。


「…三上…くん…?」


腕組みをしたまま厳しい視線を送る彼に、トキメキとはまた違った動揺がわたしの中で走った。


「早く行こう」


佐藤さんに促されて、結局曖昧な気持ちのまま教室を後にする。


言い知れぬ不安が、胸いっぱいに広がっていった。
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