Cool Lip
「そ、そりゃあ助けてあげたいのはやまやまだけど…わたし、お祓いとかできないし、霊感もないし…」


しどろもどろになりながらも断ろうと試みるわたしの手を、佐藤さんはギュッと掴む。


「大丈夫!黒猫を見つけてくれたらそれでいいの!」


いや、何が大丈夫なのさ。


「あーでも…呪われるのは怖いし…」


「水本さんは呪われないわ!」


何を根拠に…?


なんだかよくわからないが、佐藤さんは何がなんでもわたしに期待をかけたいらしい。


「もし見つけてくれたら、試験のヤマを教えてあげる」


「ほんとに…!?」


単純だとは思うけど、今の自分にこれほど魅力的な申し出はない。


…結局、


わたしはこの日から呪いの黒猫を探し回る羽目になった。
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