Cool Lip
「アホか」


開口一番、リンリンはそう言ってはぁ〜っと大きくため息をついた。


お昼を食べる中庭はいつもどおりのどかなのに、わたし達の周りだけはいやに暗い。


「…大体、なんだって試験勉強する予定が猫探しに変わってんのよ」


「…わかんない…」


むしろ、こっちが聞きたい…。


引き受けたからには、なんとしてでも見つけないといけない。


結局、昨日の放課後はしらみつぶしに学校周辺を歩き回って、終わってしまった。


「でも、佐藤さんあれ以来怖くて放課後学校にも残れなくなったっていうし…」


それに、妙に元気がないのが気になるのだ。


「お人よし…」


リンリンはぐびぐびとペットボトルを口にする。
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