Cool Lip
佐藤さんが黒猫に、まぁその、呪いの言葉をかけられたのは学校のすぐそばにある街路樹だった。


舗装された広い通りに、脇は桜並木が連なっている。


今はシーズンではないけど、西南学園ではわりと有名なデートスポットだ。


最寄り駅からは反対方向なので、お金のない学生が寄り道するには手頃なわけで。


通常今ぐらいの時間なら、横に備え付けられたベンチに西南学園のカップルが何組か見受けられるはずだけど…


さすがに試験前とあって、制服着て歩いてるのはわたしくらいのものだった。


ここはエリート校たる由縁かもしれない。


「話によると、この辺なんだよねー…」


キョロキョロと辺りを見渡してみるけど、それらしき姿はない。
< 29 / 60 >

この作品をシェア

pagetop