Cool Lip
もちろん、ほんとのことなんて言えるはずもない。


「三上くんこそ、帰りは逆方向じゃ…」


そこでわたしは言葉を飲み込む。


うそ!!???


「―――おいっ!?」


突然駆け出したわたしを、何故だか三上くんも後を追ってきた。


わたし、あの三上くんに追いかけられてる!?


…なーんて、喜ぶ暇もなく、目的の対象との距離は徐々に開いていく。


桜並木を過ぎた先は、大きな森林公園が眼前に広がる。


「待てって―――」


女のわたしより、断然男の三上くんの足の方が速いわけで…


「わっ!?」


追いつかれて手を引かれた拍子に、わたしは思いっきりバランスを崩した。
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