Cool Lip
…まぁ、期待はしちゃいけないんだけどさ…


一応十七歳の男子高校生なわけだし?


普通もっとこう、他にリアクションあるでしょ…!?


「それより、どうしていきなり走り出した?」


わたしの心の中の叫びなんて知る由もなく、三上くんは冷静に問いかけてきた。


…はぁ〜…


願望まで遠い。


「…猫が…いたから…」


「…何だって?」


明らかに、この女何言ってんだって顔してる。


チクチクと胸の辺りが痛んだ。


「…三上くんには、関係ないことだよ」


呪いの黒猫の話なんてした日には、口すら聞いてもらえなくなりそうだ。


…これ以上、好きな人に悪い印象を与えたくなかった。


振られたとはいえ、嫌われたくはない。
< 35 / 60 >

この作品をシェア

pagetop