Cool Lip
思いもかけなかった二人だけの時間は、わたしにとっては何よりの奇跡だ。


…だけど、


本来なら賭けの対象である三上くんが勉強を教えるだなんて、いくらなんでもおかしい。


そのくらい、わたしだってわかる。


三上くんの真意はわからない。


わからない…けど…


「…今日、佐藤さん、お休みなの?」


HR終了後の教室で、主のいない席を見る。


「あー、そういえばそうみたいだねー」


リンリンはバスケの朝練がきつかったらしく、それ以上は何も言わずに机に突っ伏した。


…休み…?


なんで?


タイミングがよすぎない?


胸の辺りがざらついてしょうがなかったけど、怖くて三上くんの方に視線を向けることができなかった。
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