Cool Lip
「確か、昨日はこの辺りで見失ったんだよね…」


日が傾きかけている森林公園は人もまばらで、ともすれば黒猫なんて紛れ込んだらわからなそうだ。


追っていった後ろ姿は間違いなく黒猫だったけど、額に金色の一房があったかどうかは自信がない。


「黒猫なんて、たくさんいそうだし」


頭ではわかっているけど、いてもたってもいられなくて、結局今日もわたしは捜索を続ける。


「公園に逃げ込んだってことは、このあたりに生息してる可能性が高いよね」


知らず知らずに公園の奥へ、奥へと足を踏み入れていた。


やがて知らない横道に入る頃にはすっかり日も暮れていて、辺りに人影はない。
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