Cool Lip
なんか…


寒いな…


そう思った瞬間だった。






「―――…お嬢さん…」




ぎ、




「ぎゃあぁぁぁぁぁあ!!!!!」




…叫びながら、自分で自分の耳を塞ぐ。




「わぁぁぁぁああ…」




「お、落ち着いて…!」




いつのまにかつむってしまっていた目をそっと開けると、




「私、怪しい者じゃないです。人間…ですから」




そう言ってずり落ちた帽子を直したのは、


ロングコートを羽織ってうっすら髭を生やした、いかにも怪しい三十代くらいの男だった。
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