Cool Lip
わたしの警戒している様子がわかったのか、占い師はふふっとイタズラっぽく笑って、


「うちのルンを追いかけ回していたのは、あなたではないですか?」


「―――…ルン?」


占い師が屈んで手を出すと、どこからか黒いモノが…


「―――あっ…!?」


…パカッと開いた口が塞がらない。


「やはり、そうでしたか?」


茂みから現れたのは、金色の…帽子をかぶった黒猫だった。


「なん…で…!?」


アワアワと指を指すと、その黒い猫はナ〜ゴと一声鳴いて、占い師の手にじゃれつく。


「人間の言葉、しゃべんないじゃん…」


ポソリと漏れたわたしの呟きに、初めて占い師は眉をひそめた。


「当たり前でしょう?」


う゛…


こんな怪しい人にツッコまれるわたしって…
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