Cool Lip
「諦めたって、何を?」


「それは…」


珍しく言いよどむ彼に、ふきだしそうになった。


「三上くんのことだったらわたし、諦めてないよ?」


「じゃあ―――」


わたしは扉をガラッと開けて、振り向き様、今できる精一杯の笑顔を向けようと頑張った。


「三上くん…心配してくれてありがとう。でも、わたしなら大丈夫だから!」


そう言って、返事も聞かずに飛び出す。


…仕方ない、よね?


こんなチャンス、もうどんなに頑張ったってないだろうけど…


予想以上の自分の落ち込みように、泣けてくる。
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