Cool Lip
そんな簡単に諦められるんだったら、何度も告白なんてしてない。


「……よしっ」


一人気合いを入れて、まだ朝の人気がない学校の廊下をいく。


この時間に教室で勉強する習慣があるのは、既にリサーチ済みだ。


昨日ハンバーガーを食べながら散々リンリンに呆れられてたけど、


それでもわたしは諦めようとは思えなかった。


…自分でも、恋する乙女はすごいと思う。
(リンリンに言わせれば、うざいともいう)


「三上くんっ」


ガラッと勢いよく2―Aの扉を開けると、あのめったに表情を変えない三上くんの顔がみるみる歪んでいった。


…うんざりしたように。


「……おい……」


バンッと参考書を閉じて、まさにキレる寸前の三上くんが続きを言う前に、慌てて口を開く。


「あー…言わなくてもわかってる。一言言いたいことがあっただけだから」


三上くんの片眉が器用に上がるのを見て、わたしはふーっと深呼吸をした。


そして、


「あなたの興味、わたしが引き出しますっ」
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