Cool Lip
「けっこうだ」


「わわわっちょっ、ちょっと待って!お願いだから!!」


一言でバッサリと切り捨てて、再び参考書を開こうとする三上くんを慌てて止める。


「話くらい聞いてくれたっていいと思わない!?」


焦るわたしに、いつもの冷めた視線が突き刺さった。


「時間がもったいない」


…こいつは〜…


ムクムクと黒い感情が沸き上がってきたけど、なんとか抑える。


「…じゃあ…どうしたら話を聞いてくれるの?」


じっと見つめたまま動かないでいると、三上くんはちらっとわたしを見て、観念したように息をついた。


「どうしてそんなに僕にこだわるんだ?」


そりゃ…


「好きだからでしょ」


さらりと答えるわたしに、三上くんはさも頭痛がするようにこめかみを押さえだした。


「水本…君は―――」


そこで一旦区切って、


「なぜ臆面もなくそんなことが言えるんだか…理解に苦しむよ」


本当にわからないって表情でもう一度ため息をつく。
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