Cool Lip
三上くんはしばらく思案するように目を閉じると、


「それなら、こうしよう」


「え…っ」


ただ視線を向けられただけなのに、心臓が跳ね上がる。


そんなわたしの様子には気付かず(それこそ興味ないのかもしれないけど)三上くんは言った。


「君が今度の試験で僕より一つでも点数が高いものがあれば、敬意を評して話くらい付き合ってやる」


「え゛」


みるみる顔が引き攣っていくわたしとは裏腹に、三上くんは涼しい顔。


「そのかわり、全教科僕より劣るようなら…」


その先はあまり聞きたくなかった。


「…一教科だけで、いいのね…?」


ポツリと呟く。


「へえ?やるんだ?」


少し驚いた様子の三上くんを見て、わたしの心は決まった。
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