君の僕
「え?…何してんの。」
「何。」
一切顔色を変えない。
「いや、手。」
「文句ある?」
顔には出さなかったけど、
どこか納得させる言葉と声。
…それと、顔?雰囲気?
“文句ない”って言いそうになった。
だけど、言わなかっただけで
どこか嬉しくて
手を握られたまま、
…むしろ私も彩斗の手を握ってた。
「なぁ、付き合おっか。」
彩斗からこの言葉を聞くのに、
時間は全く掛からなかった。
「え?」
「気に入った。」
嬉しさと、疑問と、
不安と、幸せな感じ。
「…ん。」
でもね?
最終的には嬉しいのでいっぱいになって
口元が少しずつ、緩んだ。
彩斗の肩に寄り添って、
照れ隠しで笑ってみると
彩斗も一緒に笑ってくれて…
うん、多分私幸せだった。