君の僕
先輩と話し込んでると、
玄関がドンドンッと鳴った。
近くに居た奴が鍵をあけると、
皆急に頭を下げ始める。
視線の先に居たのは、彩斗。
「久しぶりっすね!!!」
先輩より上の人って、
あんまり見ないから
先輩の「~っすね!」って新鮮だ。
「お前さぁ?
あんまデカく動くなよ。」
苦笑いする、愛しい人。
「彩斗ッッ!!!
迎え、ありがとね?」
「あぁ。」
私の頭にポンッと手を置く。
「―っと、コウキ!!!
お前、上呼んでんぞ?
タマとかバツしか売ってねぇだろ。」
私の頭に置かれた手は、
すぐに離された。
彩斗が私等のバックで、
嬉しくないことは無かったけど
皆が彩斗を慕うから
盗られた気分でいっぱいだった。
「最近シャブやる奴、
全然居ないんすよ…。」
「その辺の馬鹿な女に売れよ。」
この一言で、
私の世界と彩斗の世界に差を感じた。